緑内障という病気
緑内障、イヤな病気です。
”緑内障です”と診断するのがどれだけ辛い事か…
でも、伝える事は伝えないと。
どこまで伝わっているか心配になることもありますが、十分に時間をかけて説明します。
たいていは手遅れです。
待てよ?”手遅れ”っていう言葉、正しいのか?
それなら、”遅れ”ずに来院してもらえば、視覚は救済できるのか?
残念な事に、現在の獣医療では緑内障眼の視覚救済はかなり難しい。
一部の報告では、視覚ある状態で、急いで外科手術を行った上での視覚温存率は
6ヶ月後:66%
12ヶ月後:50%
一方、視覚ある状態で、点眼治療した視覚温存率は
6ヶ月後:48%
12ヶ月後:26%
まだまだ本疾患が解決される道のりは遠い…
では、治療不可能な時、どうするのか???
こんな感じで、眼の中が血まみれです。
痛さのために反応性の目ヤニが出ています。
眼圧が40mmHgを超えた状態が7時間続くと、視神経に不可逆的なダメージが及びます。
(ちなみに正常眼圧の目安が10-20mmHg)
つまり、失明です。
”緑内障は眼に矢が刺さっている状態。痛いし、見えない。僕ら獣医師はその痛みをとってやらなくちゃならない。”(Dr. Wilkie談)
緑内障による眼疼痛改善のために、眼球摘出もしくは義眼が望まれます。
治療内容が派手ですが、見えていない眼に何ができるでしょう?
強力な鎮痛剤?
いやいや、戦っている相手は緑内障。
だんだん眼が大きくなってくるのです(牛眼(ぎゅうがん)と言います)
そして、眼が閉じれなくなってくる。
角膜のど真ん中に傷や膿みが溜まってくる。
その後は眼球癆(がんきゅうろう:眼が萎縮する)に移行します。
そうなると目ヤニが止まりませんよ。
緑内障の原因は様々です。
眼に炎症が起こった後の虹彩後癒着から緑内障(iris bombeと言います)
はたまた、白内障が急速に進んで、レンズが破裂したことによる緑内障(phacoclastic uveitis)
などなど。
原因は分かるようになってきた!!
さぁ、次は治療だ!!!!
でも、それが難しいんだ…汗