前回に続き、白内障に関するお話です。
白内障を発症すると白内障だけで済まないケースが存在します。白内障を起こした水晶体から蛋白漏出が起こり、その蛋白が眼内で炎症を引き起こします(白内障誘発性ぶどう膜炎:LIU)。特に白内障が急に悪化した時に多く見受けています。急に悪化すると水晶体の袋が破けて、中にある実(水晶体蛋白)が眼内に漏れ出ることがあります。例えるなら、膀胱破裂して膀胱内の尿がお腹に漏れる感じです。
破嚢したエコー写真
(黄色点線が本来の水晶体後嚢ライン、赤色点線が水晶体が破けてしまったライン)
LIUを起こした時の症状は、
・白目の充血
・眩しそうにシパシパしている
・目やにがでてくる
・縮瞳している
が気づきやすいかと思います。
最後の項目の縮瞳は部屋を暗くして弱い光を目の中に当てるとわかりやすいです。
ぶどう膜炎の写真
前述しましたように、白内障は急激に悪化することがありますので、
”前夜は大丈夫だったけど、朝起きたらシパシパしている”
など発症は様々です。
LIUは自力で回復することもありますが、網膜剥離や緑内障の合併症を発症することがありますので、治療をお勧めします。
LIUの治療は消炎剤の点眼±内服を用い、多くの例の症状はすぐに治ります。
ぶどう膜炎治療開始5日後
※注:全てがこのように改善するわけではありません。点眼数時後、必ず、症状が落ち着いているかを再度動物病院を受診してください。
今回は白内障が原因のぶどう膜炎についてのコメントをしておりますが、ぶどう膜炎は全身疾患からの併発症としても見られます。
例えば、子宮疾患(子宮蓄膿症)や肺疾患(肺の腫瘍)などでもぶどう膜炎が見られます。
上記の症状が現れても、ぶどう膜炎とご自身で判断せず、動物病院を受診しましょう。
次は白内障の原因について書きます。
くるめ犬猫クリニック 院長