ようやく春らしい空気になってきました。
先日、当院に導入された機械について印象をお伝えしたいと思います。
導入された機械はALCON社のNGENUITY(エヌジェヌイティ)。
この機械はヘッドアップサージェリー(Head Up Surgery)といって、頭を上げて手術することのできる機械。
通常ですと、眼科手術は顕微鏡を”覗き込む”動作が必要ですが、この機械は”覗き込む”という動作の部分を担ってくれます。
対象物(目)---顕微鏡---術者の目
というのが、今まで。
このように覗き込んで手術していました。
導入以降は
対象物(目)---顕微鏡---NGENUITY---術者の目
ということで視路が遠回りになります。
3Dメガネを着用してこのように手術します。
遠回りしているので、デメリットがあるように思えますが、遠回りすることで画像に装飾を付け加えることもできます。
例えば
通常よりもコントラスト上げてみるTissue Detail Mode
あまり使わないけど、Monochrome(白黒反転)
縫合糸を見えやすくするためにGreen Performance
といった具合です。
実際見て見ないとわからない部分ですが、画像をデジタルにすることで被写界深度も深くなり、
術中の顕微鏡のピント合わせ作業も少なくなります。
55インチの3D専用のモニターに映して手術をするため、被写体はかなり拡大され、術者は疲れにくくなります。
デメリットは視路が遠回りになるため、遅延が起こるということでした。
前評判がそういうことだったので、導入にかなり心配でしたが、担当者が
「以前よりかなり短縮されたので、問題ないかと思われます」
と太鼓判を押してくれたため、導入に至りました。
結果は、全く遅延を感じません。
昔は0.06秒の遅延で、今は0.04秒まで抑えることができたとのこと。
この0.02秒を縮めるのが大変だったみたいです。
アナログ回線から3G回線になって、音楽配信ができるようになり、
4G回線になると動画配信ができるようになり、
5Gになると遅延がなくなるので、遠隔手術支援ができるようになると聞いたことがあります。
AIに然り、人類はデジタルとこうやって協業していく時代の幕開けだなぁと実感した次第です。
こういう技術が搭載されることにより、安全性が高まり、人への負担が減り、できないことができるようになってくる
という好循環が生まれれば、もっともっといい世の中になると信じています。
くるめ犬猫クリニック
院長 奥井 寛彰