先日手術用デジタル顕微鏡についてコメントしました。
以降も全ての眼科手術ならびに拡大が必要な手術に積極利用しております。
被写界深度、画角、術者の姿勢などなど、全てが今までを凌駕しており、一度この見え方に慣れてしまうと元にはなかなか戻れません。
約1年前に自分がこういう記事を書いているのを思い出しました。
この時の自分の心境を思い返すと、
”手術の最後の砦である視機能の部分を他人(コンピューター)に預けてしまって、安全な手術ができるのだろうか?”
という心配があったことは否めません。
比較的高額な部類に入る医療機器ですので、導入に対して慎重になっていましたが、実際使ってみるともっと早く導入すればよかったという印象です。
楽になっただけか?と問われると、安全性も増したと実感しています。
これは実際に数値化できない部分かと思われますが、術者が楽ということは手術が楽なので、術中手順に完成度が高まってくると考えています。組織をつかむ、縫合糸を通す場所など基本的なものから、白内障手術時の飛散核片の行方も含め一つ一つが全体を通して自然と視認化されます。何もこの機械を使わないと安全な手術ができないわけではないと言うことを申し添えておきます。ただ、導入に怯えていた当時の自分には、もっと早く導入しておけばよかったということを伝えたいと言う気持ちはあります。
以前白内障手術をトレーニング受ける時に、”鏡視下手術をする時に大事なことは見るということを散々意識しろ”と言うこと、叩き込まれました。術中姿勢だったり顕微鏡セッティングだったり、そういったものがデジタルの導入により、シンプルにかつ肉眼を超えて叶えてくれます。
この先も未来の自分の期待に応えていける、現在の自分でありたいと思っております。
そして、自分だけでなく、当院全体で、社会全体の枠を考える行動規範をもって、取り組んで行きます。
くるめ犬猫クリニック
院長 奥井寛彰