2024.04.27 Saturday

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2021-03-12 06:00:00

白内障について〜治療

このシリーズも大詰めを迎えました。

 

白内障の治療というと手術を思い浮かべる方が多いと思います。確かに手術もいいと思います。ごく一部の白内障例を除き、手術しか視機能を回復する方法はありません。原因編で記載しましたように、原因についてよく考えて手術を踏み切ります。

 

大きく分けて、視機能を回復させるための外科療法、炎症を抑えるための内科療法があります。

 

 

内科療法を選択した場合、見えないけれど、白内障から発生する眼続発症を回避する目的で、消炎剤を点眼します。白内障が起こるとぶどう膜炎が発生しやすくなるからです。1日1-2回の消炎剤点眼を行います。悠然と構える形です。うまくいけば、眼続発症を抑えれますし、抑えれない場合もあります。目の中に出血が見られたり、目が拡大してきたりします。眼続発症を発症して痛みを伴う場合、眼球摘出や義眼などの外科療法、鎮痛剤服用の内科療法を選択していきます。

 

 

外科療法(手術)を選択した場合、見えるを目標に、さらに、術合併症を抑えるように点眼薬を処方します。手術は全身麻酔下で行い、片目だいたい30分以内です。人間の手術と似たような手法ならびに器具や機械を用いて行います。手術用顕微鏡(Zeiss社Lumera700)、超音波乳化吸引機(ALCON社コンステレーション)、粘弾性物質、眼内レンズ(メニわん社DVS15)を主に用いております。麻酔覚醒後から術後高眼圧に備えて、眼圧をはかります。高眼圧になる例の多くは術後3-4時間でそれ以降は減少に転じます。全ての例で眼圧が上昇するわけでありません。翌日も眼圧測定、手術時に作成した角膜創口の安定性、眼内の炎症の程度などなどをチェックします。術後のエリザベスカラーは必須になりますが、一日中するとワンコも疲れてきますので、散歩や食事といったご家族が目を掻かないよう見れる時間帯は外してもらうよう伝えています。過去にエリザベスカラーをつけっぱなしにして、首の周りにひどい皮膚病を起こしてしまった例がありました。とても申し訳ないことをしたなぁという教訓があるため、時々外してもらいます。

手術中風景

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超音波乳化吸引機で白内障成分を吸い出し、眼内レンズを入れる手法が取れない例もあります。水晶体が脱臼する例が代表例です。その時は水晶体摘出へと進みますが、水晶体を摘出しても目が見えなくなるわけではありません。手元が見えにくくなる印象ですが、多くのわんこはその環境に適応して通常の動きを取り戻してくれます。

 

 

手術の合併症は内科療法と同様です。目の中に出血が見られたり、目が拡大してきたりします。手術例では水晶体成分はすでに目の中にはありませんので、痛みに関してはそれほど強くない印象です(全例が痛がらないというわけではありません)。けれど、せっかく取り戻した視機能を再度失ってしまうため、見ている方は辛いです。ただし、失明してしまったからといって全てが終わりではなく、内科療法にも言えることですが、ロービジョンケア(視機能が低下した後のケア)を一緒に考えます。ぶつからないように様々な工夫について、いろんなご家族からの案がありますし、この先も新しい案は浮かんできます。みんなでその子をフォローします。手術前に想像していた幸せを違う形で一緒に作ります。

 

 

最優先で考えるべきことは病気が主語ではなく、そのワンコが主語になるように、そして、そのワンコの福祉を考えて、最適解を探していきます。いくら話し合っても結論出ない時もあります。でも、その話し合いこそが大事な時間であり、内科を選択したり手術を選択したりした時に活きてくるものと信じて診察しております。

 

 

これでこのシリーズはおしまいです。

学問は進歩していきますので、アップデートがあれば記載していきます。

 

 

くるめ犬猫クリニック 院長 奥井寛彰

2021-03-07 20:00:00

盲導犬

先日、午後お休みをいただいて、九州盲導犬協会をお邪魔しました。

 

目的は盲導犬の卵たちの目の診察です。眼球の各構造に異常を認めないかどうかを検査します。ほとんど問題ないワンコばかりですが、まれに異常が見つかったりします。

元気盛りで全然じっとしてないんじゃないか?と思ってましたが、ある程度訓練されたワンコたちばかりで、ちゃんと目の診察をさせてくれます。なんてお利口なんでしょう。

 

診察中に協会の方といろんなお話をします。その中の一部を抜粋すると…

発出された非常事態宣言で、視覚障がい者の方への貸与が遅れる事態が発生してしまったそうです。視覚障がい者の方は手でいろんなところを触ることで確認しながら生活をされているため、早く盲導犬を届ける必要があるのですが、それが叶わなかったりするとのことで、お話を聞いて、心痛めました。また、通常の社会啓蒙活動もできず、滞りが生じているとのこと。

 

社会がいろんな方向へ注意を向け、皆が充足された生活を送れるよう今後も努力し、改善し、実行に移していきたいと思った1日でした。

 

 

そういえば写真撮ったことないなぁと思い、最後に写真を撮らせてもらいました。

 

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お前たち、訓練頑張れよー!

 

九州盲導犬協会へのアクセスはこちら

 

 

くるめ犬猫クリニック 院長 奥井寛彰

 

2021-03-07 06:00:00

🦷歯科診察🦷

おはようございます☀

 

不安定な天気が続き、嘔吐や下痢と体調を崩している子が増えてきました。

当院は日曜・祝日も診察しておりますので、お早めにご相談ください😊

 

 

さて、当院は歯科専門外来を毎月2回歯科診察・処置を行なっております🦷

3月からは毎週1回、診察日を設けます‼️

日程はカレンダーにてご確認ください😊

予約制となりますので、お電話(☎︎0942-21-7702)またはスタッフにお問い合わせください。

 

 

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実際に使用している3Dスキャナーです✨

口の中を立体的に見ることができます‼️

 

 

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レントゲン画像と合わせて、わかりやすく説明してもらいます😊😊

 

口臭・歯石が気になるというお悩み以外でも、乳歯が残っている、噛み合わせがおかしい、歯が折れてしまった…等、お口の中のお悩みや日常ケアのご相談も承ります😬🪥

 

お気軽にご相談ください😊

 

 

くるめ犬猫クリニック 事務 渡辺

2021-03-05 05:40:00

白内障について〜原因

今回は白内障発症の原因についてコメントします。

 

 

 

白内障発症の原因特定は難しいことが多いです。

いろんな原因分類があるかと思いますが、目が原因のケースと目以外に発症要因があるケースに大きく分けてみます。

 

・内臓疾患:糖尿病など

・外傷:目の周りの皮膚病や角膜外傷など

・遺伝的素因

・眼内の他の疾患:水晶体脱臼や網膜、目の腫瘍、緑内障など

・その他:放射線障害や幼少期のウイルス感染など

 

などたくさんの原因が考えられています。仮に糖尿病を発症したとしてもそのワンコがたまたま網膜症を患っていれば、どちらが責任病因か?分かりにくくなります。なので、コレ!という特定をしにくいのが現状です。

水晶体脱臼の写真

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原因を特定しても一度水晶体蛋白が白く変性すると、元に戻ることはありません。目玉焼きを焼く時に、最初透明だった白身が熱変性して白くなると元に戻せないのと一緒です。

 

 

 

それでも原因をなるべく知りたいのは、白内障も含めたそれ以外の病気でその子が苦しまないようにするためです。 特に手術を実施するケースでは術後の様子を術前から考えておきます。一例を挙げますと、最近よく経験する「目を掻く例」です。目を掻く場合、術後も目を掻くとせっかく見えるようになっても目を掻き壊してしまう懸念があります。術後も目を掻かないように皮膚病のケアも必要です。

 

 

 

原因が分からない故に、色々と考えないといけないのが白内障です。当院では、白内障をどうするか?という話も診察室内で行いますが、もう一歩突っ込んで、この子の視覚についてどう考えるか?も話し合い、行く末を案じた治療法をご家族と一緒に決めていけるよう心がけています。

 

 

 

次回は治療についてお話しいたします。

 

 

くるめ犬猫クリニック 院長

 

 

2021-03-01 05:40:00

狂犬病予防接種

おはようございます☀

早いもので、3月がスタートしました!

 

先日、令和3年度の狂犬病接種済鑑札が届きました😊

3月2日より新しい鑑札に変わります。

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新しい鑑札は青です😊‼️ 

 

 

3月、4月は狂犬病接種での来院が増え混雑が予想されます。

今年は、お車での接種も行なっていきます。

その際、官公庁発行の葉書をご持参ください。

受付を行い、獣医師の確認準備が出来次第、接種を行います💉

その際は、必ず接種対象犬をコントロールできる方がご一緒ください。

病気や薬についてのご相談や診察も同時にご希望の方は、診察室内での接種になりますので受付後、順番にお待ちください。

 

 

久留米市外の方も接種可能となります。接種証明書をお渡ししますので、お住まいの役所にて鑑札と交換してください😊

久留米市の方は鑑札のお渡し、初めての方は登録の手続きも可能です。

ハガキをお持ちの方は受付時に提出してください。

 

暖かくなってきましたので、ノミ・ダニ・フィラリアの予防も忘れずに😊‼️

当院での1年持続型フィラリア注射は3月末までとなっております。

ご不明な点がございましたらご相談ください☺️

 

 くるめ犬猫クリニック 事務 渡辺

 

 

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